近年オーガニックが浸透し、ワインの世界でも自然派ワインの人気が高まっています。
フランス語でvin naturel(ヴァン ナチュレル)、vin nature(ヴァン ナチュール)と呼び、最近は日本でもヴァン ナチュールという呼び方が広まってきました。
そんな自然派ワイン、ヴァン ナチュールですが、オーガニックワインや酸化防止剤無添加ワインと混同されることが多く、どのようなワインか誤解されることも多いのです。
オーガニックワイン、酸化防止剤無添加ワインとどこが違うのか、自然派ワインとはどういうワインを指すのか気になるポイントを抑えてワイン選びに活かしましょう。
目次
オーガニックワインとは?
オーガニックワインとはその名の通り、有機栽培されたブドウでつくられたワインのことです。
ブドウ栽培については、農薬や決められた化学肥料を使用しないなど細かな規定がありますが、ワインを造るその醸造方法については規定がありません。
ここがひとつポイントです。
酸化防止剤無添加ワインとは?
スーパーなどでとても安く売られていて、酸化防止剤無添加ワインとラベルに書いているものがあります。
全ての無添加ワインではありませんが、安価なものに多いのは、海外から濃縮ブドウジュースを輸入し、それに水を加え発酵させたものです。特に表示がなければ原料のブドウもオーガニックではないでしょう。
フランスなどのワイン大国では、生のブドウから造ったものしかワインとして認められないので、厳密にはワインとは言えないですね。また、日本酒のように火入れをして殺菌のため温度を上げているものもあります。そうすると酵母は死んでしまい、味わいも平坦で熟成しない飲み物になってしまいます。
また、醸造時には酸化防止剤を添加していないということですが、ジュースにする時点で使用しているかは不明です。
酸化防止剤無添加と書かれていると何だか体に良さそうで、人気もあると思うのですが、どのようなものなのか、誤解を招く表記に思えます。
一方で、国産のブドウを使い、酸化防止剤無添加のワイン造りに真摯に挑戦している生産者もいます。酸化防止剤無添加と表記のあるワインがすべて濃縮ジュースからつくられているわけではないことにも注意が必要です。よりわかりやすい表記になると良いですね。
自然派ワインとは?
では、自然派ワイン、ヴァン ナチュールとはどんなワインでしょうか。
造り手によっても、そのアプローチや考え方が様々なので、一言で表すのは難しいのですが、簡単に言わせていただくと、有機栽培、または自然栽培などでつくられたぶどうを、野生酵母で発酵させ、亜硫酸塩(酸化防止剤)無添加、またはごく少量添加してつくられたワインのことです。
それぞれの造り手ができるだけ自然に、その土地をあらわす唯一無二のワインを造ろうと努力しています。
ブドウ栽培は有機栽培を中心に、ビオディナミという農法で行う造り手もいます。
ビオディナミ農法とは、1924年ルドルフ・シュタイナーが行った農業講座がもとになっています。化学肥料や農薬を使わないのは有機栽培と同様です。
その上で周辺環境を含めた全体を有機体としてとらえ配慮し、植物の免疫力を高める措置をとり、また、月のサイクルも考慮します。
オーガニックワインと自然派ワインの違いとは?
オーガニックワインはブドウは有機栽培されていても、発酵させるために培養酵母を使ったり、補糖や補酸をすることもあります。亜硫酸塩の添加量もその国や地域によっての規定量はありますが、オーガニックワインとしては規定はありません。
培養酵母は、発酵しやすく、香りや味わいも思った通りに出やすい反面、画一的な味わいになりがちです。
ヴィンテージによってぶどうの出来は左右されますが、補糖はある程度のアルコール度数を得るためにブドウ糖などの糖分を補うこと、補酸はクエン酸などを添加して酸味を補い味のバランスをとることです。
ヴィンテージによっての味のぶれも少なくなるので、安定した味わいではありますが、酵母や品種が同じであればどこで造られても似通った味わいになりがちであったり、その個性が感じられないものになったりします。
一方、自然派ワイン、ヴァン ナチュールは、できるだけ自然につくられたものであり、造り手やその土地のテロワールが色濃く出る、個性的なものです。
家族経営などの小さな生産者が多いのも特徴です。造り手の顔の見えるワインとして近年その人気が高まっています。
ブドウはオーガニックワインと同様に有機栽培や自然栽培でつくられ、酸化防止剤は必要最小限の使用にとどめます。
その年によって味わいも変わりますし不安定な要素もあるのですが、造り手の思いを知ることで、応援したい気持ちにもなり、ますますワインが楽しくなります。
そして、ブドウ栽培から醸造に至るまでこだわって造られているため、生き生きとしてピュア、体にスッとなじむような味わいが魅力です。
まとめ
自然派ワイン、オーガニックワイン、酸化防止剤無添加ワイン、違いがわかりましたでしょうか。
イメージだけでなく、違いを知ることで、より自分の求めるワインを選びやすくなります。
ナチュラルで体にスッと染み込むような自然派ワイン。飲み続けるうちにその魅力の虜になってしまうかもしれません。ぜひ試してみてくださいね。
「クロックムッシュー」
ビストロやバーで軽食として人気のあるクロックムッシューです。日本のカフェでも定番になってきました。フライパンではなく、トースターで簡単に仕上げます。
材料 2人分
[ベシャメルソース]
・薄力粉 15g
・バター 15g
・牛乳 125㏄
・塩こしょう 適量
・ナツメグ 適量
・食パン 4枚
・ハム 4枚
・グリュイエールチーズ 適量
・ベシャメルソース 適量
作り方
- ベシャメルソースを作る。鍋に牛乳を入れ、火にかける。沸く直前に火を止め、蓋をして保温しておく。
- 別の鍋を中火にかけ、バターをひく。
- そこに薄力粉をいれ、色がつかないように炒める。
- 小麦粉に火が通ったらいったん火から外し、濡れ布巾にあて温度を下げる。
- あわだて器に持ちかえ、4に1を少しづつ合わせていく。絶えずかき混ぜ、ダマが出来ないように注意する。
- 再び弱火にかけかき混ぜる。プクッとなったら日からおろし、バットなどに広げ氷にあて冷ます。
- 食パンを軽くトーストする。
- トーストした食パンの片面にベシャメルソースを塗る。もう一枚にも塗る。
- ハムをのせ、ベシャメルソースを塗った面が重なるようにサンドする。
- 表面にベシャメルソースを厚めに塗り、グリュイエールチーズをちりばめる。
- トースターに入れ、チーズが溶けおいしそうな焼き目がつくまで焼く。
これに合わせるワインは
辛口の白ワインがおすすめです。アルゼンチンワインで最も多く作られているのがトランテス種です。白い花のような甘い香りに合わせてマスカットの爽やかなニュアンスをもっています。香りは甘いものの味わいは辛口で酸味があるので、非常にバランスのとれた白ワインだと言えます。
カリカリのトーストとベシャメルソースが奏でるハーモニー
「クロック:croque」はカリッとした音、またその食感を表すフランス語で、 「ムッシュー:monsieur」は男性を意味します。その名前の通り、カリッとしたトーストの食感が楽しい料理です。パリ・オペラ座の近くのカフェで作られたのが始まりだと言われています。今では軽食の定番で多くの人に食べられていますが、当時は大きなトーストを豪快に食べるというものだったので男性が好んで食べていました。女性にはあまり向いていない、男性向けの料理だったのでムッシューという名がつけられました。
この料理から発展したもので、「クロック・マダム」という料理があります。クロック・マダムはハムとチーズをパンにはさみトーストし、目玉焼きを上にのせた料理です。ベシャメルソースはかけず、塩こしょうのみの味付けなのでクロック・ムッシューよりはボリュームは控えめです。ムッシューがあるならマダムも、名前の付け方にもフランスらしいセンスを感じさせてくれます。
ベシャメルソースは作ったら氷にあてて急冷するのが鉄則です。そうすることでバクテリアなどの細菌の増殖を防ぐことが出来ます。すぐに使わないときは小分けにして冷凍しておけば、食べたいときにいつでも使えます。このベシャメルソースは基本的なフランス料理のソースでいろいろな料理に応用できます。グラタンやカニクリームコロッケ、カネロニなど手作りのベシャメルソースを使えばより美味しく作ることが出来ます。